南さん: ブロードウェイ俳優になることに執着しすぎて...
「生き甲斐」という言葉は、日本人には馴染みのある言葉ですが、外国人にはやや抽象的な概念に感じられるかもしれません。
このシリーズを始めた動機は、現在世界中で注目を浴びている『生き甲斐図』に違和感を感じたことでした。この型にはまった『生きがい方式』が、本来の『生き甲斐』の意味合いとは違った形で一人歩きしているように思えるのです。
「生き甲斐」は、人生を豊かにするための一つの鍵であるとともに、一定の方程式を持たず、時とともに変化していくものだとMOGAMI 最上ウェルネスでは提案しています。
その一つのソルーションとして、『ありのままの自分・自分らしさ』を貫いている方々の実際の体験談や、ライフストーリーを皆さんと共有。そして、みなさん一人一人の心の内から生まれてくるであろう『生き甲斐』について、考えるきっかけになって欲しいと願っています。
MOGAMI 最上ウェルネスでは、この「生き甲斐」にスポットを当て、「生きがいスポットライトシリーズ」を配信してます。
今月のゲストは、ニューヨークを拠点に活動するブロードウェイ俳優・YU-project主宰の由水 南さんです。
あなたのライフストーリー、これまでの経験や経緯を教えてください。
石川県金沢市出身。18歳で演劇を学ぶために渡米。学校卒業後、87回のオーディションに落ち続け「88回目の正直」で舞台初仕事に合格。ビザの問題に直面し一旦帰国。劇団四季に入団し「ウィキッド」「美女と野獣」「鹿鳴館」に出演。日本初演の「春のめざめ」では翻訳家・演出助手としても携わる。俳優としてブロードウェイの舞台に立つ夢を諦められず退団を決意し、再渡米。数多くの挫折を味わいながらも2015年に念願の夢を叶え、渡辺謙主演の『王様と私』でブロードウェイデビューを果たす。その後もブロードウェイでの出演が続き『ミス・サイゴン』そして『マイフェアレディ』では唯一のアジア人女優として出演者に選ばれた。2014年にYUプロジェクトを発足。講演やセミナーを通して、自分らしく前向きにチャレンジしたいひとを応援している。これまでに東京大学や金沢大学などで講演会とセミナーを開催。オンラインでも企業、学校、キャリアウーマンの団体などに向けて開催。2020年には国連障害者権利条約(CRPD)締約国会議にてサイドイベント「多様性・障害・包摂:ブロードウェイ・マスタークラス」を共催し、多様性豊かな社会づくりのための取り組みにも精力的に関わっている。
「生き甲斐」という概念を初めて知ったのはいつ頃でしたか?
いつも何となく耳にしていた言葉でしたが、アメリカで著書やポッドキャストでも"IKIGAI"という言葉をよく耳にするようになり、ちょうど自分の人生において大きな挫折を味わった頃に意識するきっかけになりました。
自分の「生き甲斐」への道のり・ジャーニーはどのようなものでしたか?
私にとっては生きがいの形は人間と同じで常に進化していて、いつも手探りで色々なことに飛び込んでトライしていく中で、だんだんみえてくるもの、そして更新し続けるものと感じています。
私は頭で考えるロジカルな答えとは全く別のところにあるHeart(心)の声を大切な道標にしています。何だかわからないけどワクワクすること。喜びを感じること。たとえ理性で考えて意味が通らなくても、心の声こそ真のシグナルだと思っています。心の声を最優先して、心が動くこと(感動すること)には素直に従って追求してみるようにしています。
心がワクワクするということは、まだ起きていない未来に対して何らかの可能性を感じているということ。私は自らの可能性を感じられるようになって人生が変わり、生きがいを感じられるようになりました。その感覚をたくさんの方に味わっていただきたくて、YU-projectを通して一人でも多くの方に自らの可能性を実感していただくお手伝いをすることが今の私の生きがいでもあります。
「ありのままの自分」としていられると感じる瞬間は今の生活の中でどのような時ですか?
ブロードウェイ俳優だからといって舞台のみに活動の場を限定するのではなく、全く違う分野の方々とコラボレーションをしている時、演劇の魅力とパワーを幅広く発揮するプロジェクトに関わっている時、そして「面白そう!」ということに飛び込んでいる時はしっかり心の声に耳を傾けて「ありのままの自分」でいると感じます。
人生の中で思い悩んだ時期があれば、教えてください。その時、どのような概念やツールを使って乗り越えましたか?
ブロードウェイデビューの直前に、ブロードウェイ俳優になることに執着しすぎて自らを追いやり苦しんだ時期がありました。その時、しばらく無視し続けていた心の声に耳を傾け、傷ついている自分、不安な自分をしっかり見つめてあげることで、少しずつありのままの自分を受け入れてあげられるようになっていきました。「ありのままの自分」と向き合うことはとても勇気がいることでしたが、少しずつ練習を重ねていきました。
そしてもうひとつ、当時すっかり忘れてしまっていた自らの「原点」を思い出すことも、苦しみを乗り越える大きなきっかけになりました。そもそも私が舞台の道に進んだのは、仲間と一緒に舞台を作ることが楽しかったから。この純粋な喜びを思い出して原点に立ち戻ることで、自分にかけていたプレッシャーから自分自身を解放することができました。
生き甲斐を見つけるのに悩んでいる人へのアドバイスをお願いします。
この秋出版させていただく初の著書『今日から始めるSHOW UPの習慣』(2023年9月22日発売)でもご紹介していますが、生きがいをみつけるというのはある日突然大きな行動を起こすからある日突然見つかるものではないと思っています。今日あなたが、今までの慣れた領域から一歩でも半歩でも踏み出し、そしてその時に自分がどう感じるかという心の感覚をキャッチする練習を重ねるからこそ、次第に自分が何をしている時にどう感じるのかを敏感に汲み取ることができるようになります。そしてそれが道標となり、あなただけの生きがいと出会えるのではないかと思います。あなたらしさがとびきり輝く人生になりますように。ニューヨークより応援しています!
Do you want to learn more?
初の著書『今日から始めるSHOW UPの習慣』(発行:イマジカインフォス/発売:主婦の友社)の購入はこちら:https://amzn.asia/d/9tfNzTD)
ブロードウェイ俳優/YUプロジェクト主宰(セミナー、オンラインプログラム運営)https://www.minamiyusui.com/jp
インスタグラム:@minamiyusui @youunlimitedproject
Comments